公認心理士 田中 健 様
内省とは何か…心理学的視点から
私たちは日々、様々な選択をしながら生きています。進学先、職業、人間関係。大きな決断から小さな判断まで、その積み重ねが人生を形作っていきます。しかし、「自分は本当は何を望んでいるのか」「何に幸せを感じるのか」という問いに、明確に答えられる人は多くありません。
心理学では、自分の内面を掘り下げ、見つめ直す行為を「内省(リフレクション)」と呼びます。内省は、自己理解を深め、自己実現へと向かうための重要なプロセスです。ただ漠然と日々を過ごすのではなく、自分の感情や思考の動きに気づき、それらがどこから来ているのかを理解することで、人は初めて「自分の人生を選ぶ力」を手にすることができます。
一人では限界がある、対話の力
内省が自己理解に不可欠だとしても、それを一人で深めていくことには限界があります。なぜなら、一人では同じ角度からしか自分を見ることができないからです。
私たちは誰しも、自分なりの思考の癖や感情のパターンを持っています。一人で考えていると、どうしても同じ視点に囚われてしまい、新しい気づきが生まれにくくなります。時には、自分でも気づかなかった感情が心の奥底に眠っていることもあります。
ここで重要になるのが「対話」です。信頼できる他者との対話の中で、自分では思いもよらなかった角度から問いかけられたり、話している過程で「自分はこんなことを思っていたのか」と言葉が立ち上がってくることがあります。心理的に安全な場で深く自己開示することで、一人では到達できなかった自己理解の深みに至ることができるのです。
SoDRéの取り組みの価値
SoDRé(ソドレー♪)は、この「対話による内省」を教育として体系化しようとする、非常にユニークな試みです。
特に注目すべきは、個人的内省と対話的内省のバランスを重視している点です。対話だけでは自分の輪郭がぼやけてしまい、一人での内省だけでは視野が狭くなる。両者をバランスよく進めることで、真の自己理解へと向かうというアプローチは、心理学的にも非常に理にかなっています。
また、SoDRéが設定している「問いかける」「語る」「沈黙する」という対話ルールは、評価や答えではなく、自分の内面と向き合うことに焦点を当てた、深い内省を可能にする仕組みです。
運営メンバーが自らを「触媒」と位置づけ、参加者の対話を促進する役割に徹している点も、心理的安全性を保つ上で重要な配慮だと感じます。
今の社会に必要な「暇(スコレー)」
SoDRéという名前の由来である「Scholé(スコレー)」は、ギリシャ語で「暇」を意味し、学校(School)の語源でもあります。本来、学びとは効率や成果を求めるものではなく、ゆっくりと自分と向き合う時間の中にこそ生まれるものでした。
現代社会は、常に何かの成果や答えを求められる環境です。だからこそ、評価されず、ただ自分の心の形を描くことに専念できる場所が必要なのだと思います。
SoDRéは、そのような「本来の学びの場」を、対話を通じて取り戻そうとする挑戦です。心理士として、そして一人の人間として、このような場が広がっていくことを願っています。
受講者の声
「自分ひとりでは辿り着けない答えに気づくことができました。モヤモヤしていた感情に名前がついた瞬間、とても楽になりました。」
「初めての参加で緊張していましたが、とても温かい雰囲気ですぐに馴染めました。また参加したいです。」
「継続的に参加することで、自分の思考の癖に気づけるようになりました。日常のストレスも減りました。」
